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メンタルが弱い・・メンタルを鍛える時に読む本 – 実践・プレッシャー管理のセオリー

  先日、Amazonの「資格・就職・MBA」カテゴリの新着ニューリリース情報にて、「実践・プレッシャー管理のセオリー ビジネスパーソン必修 メンタル・タフネス強化のセルフコーチング術」をみつけた。 実践・プレッシャー管理のセオリー ビジネスパーソン必修 メンタル・タフネス強化のセルフコーチング術 posted with amazlet at 14.03.26 NHK出版 (2014-02-24)売り上げランキング: 427 Amazon.co.jpで詳細を見る   懐かしい。 2/24に、Kindle版がリリースされたらしい。 Amazonのページにアクセスすると、「お客様は、2008/XX/XXにこの商品を注文しました。」と表示される。 思い起こせば2008年当時、転職後の新しい環境にようやく慣れてきたかと思いきや、 また別の、新たな壁にぶち当たっていた時期。 技術系のロールから、管理系、ドキュメンテーション系の業務を担当するロールにシフトする必要があり、 「自分はこの仕事、この会社に合っていないのではないだろうか・・」と、 日々悶々としていた時期である。 管理業務・成果物作成がうまくいかない→うまくいかない理由を考え込む→考えすぎて仕事が滞る→怒られる→落ち込む→(最初に戻る)という、 完全に負のスパイラルに陥った状態で、精神的にも本当にまいってしまっていた。 毎朝、仕事に行くのが辛く、週末も、鬱々として過ごす日々。 そんな時、藁にもすがる思いで手に取ったのが本書だった。 本書の著者、戦略コンサルタントでもある高杉 尚孝さんの経歴は下記の通り。 モービル石油(現エクソン・モービル)にて営業、原油供給、製造企画部門に勤務。その後、経営コンサルティング会社マッキンゼーのニューヨーク及び東京事務所にて、日米多国籍企業、金融機関の戦略立案等に従事。米系投資銀行JPモルガン(現JPモルガン・チェース)ニューヨーク本社入社後、財務戦略アドバイザーとして米国企業価値の評価、事業再構築、M&Aプロジェクト等に数多く参画。帰国後、同社東京事務所にて法人金融部、企業調査部に所属。PR戦略コンサルティング最大手バーソン・マーステラ社マネジング・ディレクター就任後、東京事務所にて、IR、危機管理広報、イメージ戦略立案、幹部向けワークショップなどを統轄。97年(有)高杉尚孝事務所設立、現在に至る。 http://kisobi.jp/company/profile-takasugi/ プロフェッショナル・ファーム、投資銀行等での豊富な経験を元に、 常にプレッシャーに晒される高ストレスの環境下において、 メンタルの状態をコントロールするための理論(第一部 理論編)と、 ケーススタディ(第二部 実践編)が紹介されている。 本書は、ページ数もそれほど多くはないのだが、メンタルが弱い、精神的に強くなりたいと考える人は、 とりあえず「第一部 理論編」だけでも目を通していただきたい。 本書の要点は、 「~ねばならない(Must)」、「絶対に~でなければおしまいだ」という、自分で自分を追い詰める「悪い思考」を先ずは認識し、肩の力を抜き適度な緊張感を保つための「良い思考」(「~であるにこしたことはない(should)」)を選択する、 という点にある。 「第一部 理論編」では、所謂「ABC理論」と呼ばれる、A:Activating event(出来事)→B:Belief(受け取り方)→C:Consequence(結果)のプロセス、思考のクセを自己分析し、「良い思考」を選択するための理論が説明されている。これだけでも読む意味はある。 ちなみに、本書を読んで、プレッシャー管理のために試行錯誤してみた体験談としては、 「~であるにこしたことはない」と考えるようにしてみたものの・・ なんだかこれだけでは気分が楽にならなかった。 アタマでは、人生において「~ねばならない」なんてことはそんなにない、とわかってはいるのだが、 ついつい「とはいえ、もしも失敗したら・・」などと考えてしまい、 なかなかプレッシャーを緩和することができなかった。   しかし、色々と試行錯誤し、色々と経験した結果、ついに魔法のことばを発見した。 「ま、いっか」 である。 ストレスを感じる出来事に遭遇し、一瞬嫌な気分、緊張した気分になるのだが、 そんな時、心の中で「ま、いっか」と唱えるのだ。 これだけで、死にゃしねーや、とりあえずできることをやるか、という気分になれる。 このことは、自分にとってかなりのブレークスルーだった。 このブレークスルーに至ることができたのは、本書の理論が大きく役立っていると思う。 「人前に立つと緊張してうまくしゃべれない」、「失敗が怖くて仕事が手につかない」など、 プレッシャーに悩んでいる方は、ぜひとも参考にしていただきたい。 実践・プレッシャー管理のセオリー ~ビジネスパーソン必修 メンタル・タフネス強化のセルフ・コーチング術

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アイデアを寝かせるとはどういうことか

  『思考の整理学』を読み返す。 剣術で言うなら、『考える技術・書く技術』は刀の振り方を中心にしているのに対し、『思考の整理学』はどちらかと言うと実戦に向けての心構えとか、「戦うということ」について述べたエッセイという印象。教えて君から脱却し、いかに自分で課題を設定し、答えを導くことができるようになるかを、エッセイを通じて学ぶことができる。 結局、自分の頭で考えられるようになるには、以下のようにたくさん本を読み、たくさん書き、工夫・推敲することが秘訣のようだ。 三多とは、看多(多くの本を読むこと)、做多(多く文を作ること)、商量多(多く工夫し、推敲すること)で、文章上達の秘訣三ヶ条である。 これを思考の整理の方法として見ると、別種の意味が生ずる。つまり、まず、本を読んで、情報を集める。それだけでは力にならないから、書いてみる。たくさん書いてみる。そして、こんどは、それに吟味、批判を加える。こうすることによって、知識、思考は純化されるというのである。文章が上達するだけではなく、一般に考えをまとめるプロセスと考えてみてもおもしろい。 思考整理のコツも色々と提示されているのだが、先ず「一事にのめり込みすぎてはだめ」ということ。一旦考え、そしてそれを「寝かせる」。これは脳関係の本でも読んだことがある気がするのだが、自分は意識してくても、脳は寝ている間にその日にあったことを処理しているらしい。知らず知らずの内に考えが熟成され、ある日ふと良い考えが浮かんだりすることがあるらしい。でも、そのためには寝かせる対象の考え事を色々とストックしなければならない。 また、「つんどく法」という読書術も紹介されている。「積読」は普通、本を買って積み上げておくだけで満足してしまうことを指すと思うんだけど、本書の「つんどく法」は参考文献を可能な限り集め(積み上げ)、集まったところで一気に読みきるというもの。効用として、同じテーマの本を一気に読むと、定説となっている部分、諸説入り乱れている部分がよくわかる点が挙げられていた。確かに、一冊読んだだけだと頭になかなか定着しないので、何か深堀して調べたいことがあったら「一気に」読むというのは有効かもと思った。 その他、色々と示唆が多く、繰り返し読みたくなる内容。1986年に出版された本らしいのだが、コンピュータが普及するにつれて、人はコンピュータにできない付加価値の高い生産をしなければならないと喝破する点など、少しも古く感じられず。 書店でよくみる「もっと若い時に読んでいれば・・・」という一般読者の方の推薦文は、伊達でない。

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採用基準 - 地頭より論理的思考力より大切なもの

  某氏のおちゃらけていない、採用基準を読んだときのメモ。 マッキンゼーが求める人材の3条件は、 1、リーダーシップ 2、地頭のよさ、もしくは個別分野における知識や経験 3、英語力 である。 その中で最も重視される条件が、「リーダーシップ」である。 リーダーシップとは? リーダーの仕事は、「なんとしても成果を出すこと」である。 リーダーシップは、役職に関わらず、組織、グループの全員に求められるものである。 リーダーは、役職上の社長、部長、課長だけを指すものではない。 役職はメンバーであったとしても、組織の成功に向け、価値のある成果を出すこともまた、リーダーシップである。 リーダーがなすべきこととは? 1、リーダーは、目標を掲げる。 目標は、ただの目標ではなく、高い目標を設定する。 そして、変化を自ら起こすことが求められる。 2、リーダーは、先頭を走る。 一番最初に始める、アクションを起こすことは、難しいし大変である。 そんな中、先頭に立って目標や、問題や課題に切り込んでいくのがリーダーである。 これは、役職上の「チームリーダー」である必要はない。スタッフであっても、先頭を走ってよいし、走るべきである。 3、決める 世の中の問題や課題は、答えのないケースがほとんどである。 その中でも、自分なりの仮説やロジックを持ち、意思決定することがリーダーシップに求められる素養である。 意思決定には、説明責任が求められる。そして、結果責任も問われる。 その大変さも含めて自分事として引き受けられるのが、リーダーシップである。 4、伝える リーダーは、仲間を巻き込む必要がある。 バックグラウンドも考え方も違う仲間を巻き込むためには、目標や自分の考えを明確に伝え、説得する力が必要になる。 リーダーシップを学ぶためには? 1、バリューを出す 先ず、普段から、「自分は単価以上、給料以上の仕事をしているか?」、常に意識しましょう。 自分の仕事が、お客さんや、会社のために役に立っているか、常に考えましょう。 2、ポジションをとる 「ポジションをとる」とは、「自分はこう思う」と、常に考え、発信することである。 お前はどう思うんだ?と、常に自分に問い続けること。 そして、自分に問うているだけではだめで、それを周囲に伝えること。 3、自分の仕事のリーダーは自分 たとえ上司から振られた仕事であっても、「この仕事のオーナーは自分である」と考え、取り組むこと。 上司の依頼で提案書を作成するなら、自分がその提案書で顧客にプレゼンをし、説得し、仕事を取ってくることを意識して取り組むこと。 この積み重ねが、自身のリーダーシップを鍛えることになる。 4、ホワイトボードの前に立つ これは、議論の構造をホワイトボードに示す、という単純な話ではない。 会社の重役や上司、先輩が列席する会議に出席したとする。 業務時間中に仕事として会議に出席するのであれば、例え若手であったとしても、会議の目標達成のため、価値を出すべきである。       上記は、本書を読んだ上で、自分なりに解釈した内容も含まれるので注意。 私は、特にマッキンゼー礼賛などという感想は持たなかった。 海外からより安価な労働力を容易に調達できる現代において、相対的に人件費の割高な日本人が、労働市場で生き残っていく上で本質的に重要な内容が書かれていると思う。 ただし、日本でリーダーシップを身につけるには、リーダーシップを発揮する人材の多い組織で働くか、自分で会社を興すなどして、否が応でもリーダーシップを発揮しなければ立ち行かない環境に身を置くかしなければ、なかなか難しいだろうなとは思った。 非常に費用対効果の高い本である。Kindle版はよ。 [amazon_enhanced asin=”4478023417″ /]

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